「泣いてる」 細く綺麗な卓哉の指が、私の頬に触れた 立ち上がっている私を座らせるのかと思ったら卓哉も急に席を立つ 「ちょっと、外に出ようか」 どこまでも余裕なのは卓哉 さっきまで切なそうな顔をしていたくせに今は普段と変わらない表情 ズルイ、そう心で思うんだ 人の心を奪い去って返してくれないくせに思わせぶりな行動をとって 魔性の男だよ、ヤツは 「・・・うん」 けれど、そんな男と知っているくせに傍にいたいと願う私は 正真正銘の馬鹿だって自覚できてしまった