naoya's story
「兄貴」
「あ?」
「俺・・・あいつと結婚する」
ついに、この日がきた。
いつかくることは知ってた。
俺の弟は俺たちの幼なじみと結婚する。
俺も弟の直紀もずっと好きだった。
だけど、アイツは直紀を選んだ。
仕方ないと思ったし、
幸せになって欲しいとも思った。
だけど、実際に聞くともうどうにも出来ない感情が襲ってくる。
なにも言わず、
家をでて昔いつも三人で遊んでた公園に行く。
誰もいないベンチに横になると、深いため息を落とす。
冬だからでる白い吐息をかき消すと目の前に人影が現れた。
「ねぇ、辛いなら私と恋しない?」
変な誘い。
だけど、彼女の顔は俺と同じく淋しそうで。
白い肌に手を滑らせると、
辛そうに優しく微笑んで、涙を流した。
それにつられて、俺も涙を流した。
夜の公園で、見ず知らずの2人が抱き合い涙を流す。
不思議な出逢いだけど、前に進めるとおもった。
この子と一緒なら。
滅びゆく世界を救おう。
(新しい希望を手に入れたから)