足に自信のある私は、 とりあえず光啓から逃げ切って屋上にきた。 「捕まったらどうなるか分かったもんじゃない」 ゆっくりと屋上のコンクリートに腰を落とす。 秋はやっぱり寒い。 冷えた手をブレザーのポケットに入れると、 さっき光啓にあげなかった飴が出てきた。 「あげれないよ。これは」 ボソッと呟いて 飴を口に放り込む。 広がる甘みと酸味。 光啓、これ食べたらどうなるんだろ。 想像して、ふふっと笑ってると 目の前には見慣れた足が二本。 気づいた時にはもう遅かった。 「みーつけたっ」