それは、本当に偶然というか。
あたしの失態から起きたものだった。


アドレスと電話番号を知ってから一度も連絡をしてない。

やっぱりためらいがあって。


できないままだった。


「ねー美咲聞いた?!」


「何を??」

友達の頼子がおもしろそうに話しかけてきた。


「大高先生のはなしっ!」


大高先生…
名前を聞いただけで胸が高鳴る。


「大高先生が…どうしたの??」


「なんかね、現文の有川とできてるらしいよっ。」


すごくない?!


最後に頼子が言った言葉は聞こえなかった。


目の前が真っ暗というか。

ショックだった。


有川先生は綺麗で、すごくいい先生。

でも…


「…きっ、美咲!!」


「あ、え??」


「え、じゃないよ。もう放課後??帰んないの??」


どうやらぼーっとしたまま放課後になってしまったらしい。


「あー、先帰ってていいよ。」


「ん、わかった。じゃあね。」


「うん。」


図書委員のあたしは、放課後ちょうど当番で残らなければならなかった。