「まぁ、泣くより笑うほうがいいか。」
ふっと笑った顔が、胸を締め付ける。
こんな瞬間あぁ好きだなって思う。
「で、どうなの」
「へ?」
「家帰れんの?」
………あ。
「ちなみに普通棟はもうシャッターが完全にしまってマス。」
「荷物とか、どうなんだよ。」
財布も定期も鍵も全部かばん。
そのかばんは教室のあたしの席に…
「全部、教室ですね。」
「定期は」
「教室」
「財布は」
「教室」
「おい、貴重品ぐらいもってろよ。」
「ふあ、い。」
そして、ここは田舎。
電車はもう…
「どうしよう…」
電車に乗って40分。
徒歩10分の小さいアパートに一人で住んでいる。
両親は転勤のため今は九州。
「…最終手段なんだけど。」
「はい?」
俺んちくるか。
…………は??
頭がフリーズする。
「あたしが、先生の、家に、行く?」
「そうですね。」

