彼女のご機嫌



「杏奈。」


真上から降ってくる声。――…いつもは、ちゃんだの付けて呼ぶクセに。




あたしはムクッと起き上がりソイツを思い切り睨んだ。



「何か用?」



「用があっからいんだろ。」



明らかに口調が違う。

多分キレてる。でも、あたしだってキレてるんだから。



「用件は手短にしてくれます?眠いんで。」


「アイツ誰?つかなんで昨日泣いたわけ?」


「は?アイツって誰?つか早川に関係ないし。昨日泣いた?さぁ?くだらなすぎて理由なんかもう忘れたよ。」



クラスがあたし達を静かに見ている。




「お前一体何なの?」


「はー?アンタが何なのなんだけど。」



「大体泣きながら帰るとか心配するだろーが。」



「へ?心配してたの?そりゃーどーも。ま、彼氏だったら心配なら追い掛けたりとかメールとか電話もあったんだろーけどねぇ―」





「捕まってて追い掛けたり出来ねーし、つかアドもケー番も知らねぇよ!」




「大昔に教えましたけど?てかあたしのメモリー消したんでしょ?」


「あれは…わざとじゃなくて違うの消してたら、間違って…」




「ふーん。そんないっぱい登録あったんだあーみんな男子??」