「お願いだ!ヲタ部に入ってくれ!」

昼休み、メガネの先輩に呼び出された。
何かと思ったら、部活勧誘だった。
そして、
「ヲタ部とは一体なんですか!」

うん。そこ聞いとこうね。
入るか入らないかはともかく、そんな得体のしれない部なんかないよね。
入らないけど。
すると、先輩はきょとんとして、
「え?だから、ヲタクを集めて駄弁る部。略してヲタ部。」
「そんな部なんで認められてるんスか…。」
「え?他にも映画鑑賞部、田中部、鈴木部、ヒーロー戦隊部…みたいのもあるけど。」
「うちの学校どんだけ生徒に甘いんですか。」
「田中部は田中姓が集まって駄弁る部。鈴木部も同じ。ヒーロー戦隊部はスーパーで活躍中。」
「や、説明はいいですから。それとなんでそのヲタ部さんが俺を誘いに?」

先輩は、どんと胸を張って「よくぞ聞いてくれました!」と言うと、
「ふっふっふー。俺は、なんと見てしまったのだ!」
「な、何をですか?」

俺、なんか悪いことしたっけな?と考えていると、先輩はニヤリと笑い、
「君の鞄に、大量のライトノベルが入っていたことを!」
「・・・」

そ、それだけか?…無駄に緊張して損した。
先輩は「どーだ!」と言わんばかりのドヤ顔で、
「そして、君のストラップは、ハル〇だった!」
「いつの間に見たんですか、俺の嫁!」
「…一般人は普通嫁とは言わないと思うけど」
ニヤニヤと先輩が言った。
正直、ムカつきます。はい。
と、いうか
「え、普通言わないんですか?」
「…知らなかったの?何?新手の隠れヲタク?しかも無自覚?」
「だから、僕はヲタクじゃありません!」
「いや、絶対そうだろ。…好きな物は?」
「?ラノベですが…?」
「外出する時絶対持っていくものは?」
「漫画やラノベ、ゲーム、携帯」
「アンソロとか同人は何冊持ってる?」
「…25冊?」
「絶対そうだろーーー!」