朝、ジリリリリリリリ…という目覚ましの音で目が覚める。
制服に着替え、持っていく本を決め、ご飯を食べ、学校に行く。

俺…松原拓は、千川高等学校に通う一年生だ。


「よッ!」

通学途中に後ろから声をかけられた。
振り向くと、

「やっぱり拓だ!」

幼馴染。南沢葵。ポニーテールと、制服の上にジャージと言う、いかにも体育会系!って感じの女子だ。
それに俺は「はあ」とため息をつき、

「お前は朝っぱらから元気だな。」
「拓は朝から元気ないな!朝飯食ったか、朝飯。」

松岡〇造かってんだ。

「…なんでそう熱血なのかな。」
「拓が氷のよーに冷たいからだよ。」
「そんな冷たくねーよ。せいぜい、雪女の手ぐらいだろ。」
「氷より冷たいじゃん。第一、雪女の手って人を凍らすよ。…馬鹿だー。」

ああ、そうだった。
何より悪化させてんだ。俺。
「…馬鹿とはなんだ。お前に言われたかねーよ。」
「いいじゃん。…牛乳飲め牛乳。」
「なッ!ひ、人が気にしていることを~!」

たしかに、葵と身長は葵と同じくらいだけどさ。
…葵の方が1センチほど高いけど。
すると葵は、「まあまあ。」と、いつものよーに話題を変える。

「あのね、私今日ソフトボール部の助っ人やるんだ。」
「またかよ。」

そう、こいつは毎日のよーに他の部活の助っ人をやっているのだ。
助っ人にとどめておく理由は、他の部活もやりたいから。だという。
つまり、俺と同じ帰宅部。
俺の理由は、ただめんどくさいからだ。
やっぱ元気な方がいいのかな。と思ったが、
コイツのテンションを見てると、やっぱめんどくせ。と感じてしまうのだ。

「でさー、今日の試合見に来る?」
「なんでだ?」
「やー、今日の相手はすっごい強肩がいるチームで、凄い戦いになりそうだから、どうかなー。って思って。行く?」
「うーん…」