「栗塚さん……!」



「何やってんのキミは」



ハァ、と溜め息をつく栗塚さん。




助けてくれたんだ…




栗塚さんが手を引いて立たせてくれた。




「あ、ありがとうございまし……たぁ!?」




ーゴリゴリゴリゴリ…




「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い……!!」




栗塚さんに頭をぐりぐりされた。




「…何してるんですかぁ……」



「馬鹿っ!!」




ヒィッ……!!




怒られた!!




「何を……怒って……」



手を引かれ、
廊下を歩く。




でも決して、その手に力は籠もってなくて




いきなり栗塚さんが止まる。




「栗塚さ……ッ!?」




手を引かれ、
背中が壁に触れる。




栗塚さんと壁に挟まれる



「何であんな真似した?」




栗塚さん、
怒ってる。




でも、怒ってるだけじゃない。




心配、してくれてるんだ。




私を




「ごめんなさい。何か情報が掴めると思って……」



「夏梨名ちゃんがそこまでする必要はない。」



「…そんな言い方…!!」



「心配して言ってるんだ。」




っ……




口を噤む。




「夏梨名ちゃん、自覚して。君は女性だ。あんなやり方で情報は二度と掴もうとするな。もっと自分を大事にしな。」




栗塚さんの声は、決して荒げる事がない。




優しく諭すように。




その言葉がすんなりと心に落ちる。




「大事にして。心も身体も。君だけのものじゃない。君にもしもの事があれば、赤川さんや神田達、たくさんの人が悲しむ。」




栗塚さんの、目を見つめる。




「それに、俺だって……」




ードキ、ン……




少しだけ、胸が大きく波打つ。




何?この気持ち……




「行こうか」




栗塚さんが離れる。




私は後をついて行く。




わからない。




けど、
栗塚さん。




アナタは、




ズルいー………