ー1時間後
それぞれの話を聞いてみた。
まず、この旅館に泊まってる人達。
①藤田さん夫婦とジュリア……三人とも朝、起きた時から一緒。モーニングコールで起きたためアリバイ成立
②女子大生三人組…恵美、知恵は2人同時起床。冴子1人が起きていた時間は5分ほど
③仲居さん達…仲居、川原、山内、海原が朝、温泉を洗いに来たとき、真っ赤になっていた。
……他の仲居さんはこの三人以外いなくて、
後はコック、若女将、若旦那だけ
三年前、女将は亡くなっていた。
人員不足だったらしい。
「…特に怪しい人はいませんねー」
手帳を見る。
「…一番怪しいのは仲居達だけど三人同時だし、まぁ、三人が共犯じゃなければだけど」
「でもさ~、さっきの女子大生三人組は怖かったね~」
後ろで言ったのは桐谷さん。
桐谷さんも一緒に来てました。
因みに神田は二日酔いでギブ
「あぁ、冴子さん、可哀想だったな……」
冴子さんは恵美、知恵に『アンタが犯人なんだろ!?』と、遠回しに言っていた。
なんでも、
冴子さんは両親がいないらしく、
都合がいいから利用している、そんな感じの友人、だった……
それでも冴子さんは2人から離れられないんだ……
冴子さんは、
つい先日、生き別れだった母からの手紙に同封されていた旅行チケットを使ってこの旅館に来たらしい。
…せめてもの詫びのつもりだったのだろうか?
いつだってそうだ。
大人の勝手で子供は辛い目にあう。
反抗しようにも、
小さな手では何も掴む事はできない。
…かつての私がそうだ……


