ーカチカチ




「できたわ」




しばらくして麗子が言った。




栗塚は写し出されたディスプレイを見る。




「こいつ……」



「知ってるの?」




どおりで見覚えがある筈だ




こいつ、だったのか…




だが………




ヴーヴー




栗塚の携帯のバイブが鳴る




「壱十、電話……」




麗子が一瞬、動きを止めた。




スライド式の栗塚の携帯のディスプレイに写し出されたのは




“夏梨名ちゃん”




の文字と電話番号が表示されていた。




「はい」




麗子は栗塚に携帯を差し出す。




「あぁ、サンキュ」




ーピッ




「もしもし?ん、今?あぁ、大丈夫。うん、うんじゃぁまた」




ーピッ




携帯をしまう栗塚




「悪い、用事ができた。コレ、貰ってくよ。ありがとな、清水」




栗塚は写し出されたその顔を印刷した紙を持つ。



出て行こうとドアノブに手を掛けた。




「壱十」




麗子が後ろから抱きついてきた。