『雪月鬼』 男を殺した女をみた者はいない。 そう言われていた。 だが、桜の木の下の雪にひっそりと座っていた一人の女がいた。 村人の一人が女の肩に手を掛けると、 女は傾き、倒れた。 女はそれから、一度も動かなかった。 穏やかな顔をしていた。 ただ、降る雪が彼女の頬にかかり、泣いているように見えたー‥ 女が死んだ場所は、 かつて愛した男と約束した、あの木だったー‥