「よお。あれから元気にしてた?」




・・・丈留。







あんなに会いたくて声が聞きたかったのに、本人を目の前にすると、言葉が出てこない。







「・・・なんで?」




やっと言えたのは、そんなこと。


でも、1番知りたいこと。








「なんでかっていうと、俺、この家の向かいに引っ越して来たから」




えっ?

向かい?



私は驚きすぎて、言葉が出ない。






「俺、この間会ったとき言っただろ?引っ越してきたって。今日はそのあいさつに来た。おふくろが‘向かいに住んでる祈里ちゃんって子が丈留と同い年だから’って言ったとき向かいに住んでる祈里って子がお前だって気づいた」





私はただもう、びっくりしすぎて目をパチパチしてるばかり。




「祈里。これからよろしくな。あと、俺明日からお前と同じ学校通うことになったから、学校でもよろしく。じゃな」





丈留は風のようにやってきて、風のように去って行った。






まだ、信じられない。


好きな、大好きな人が自分の向かい側に住むことになって、学校も一緒だなんて。



信じられないよぉ。




どうしよう。



嬉しすぎて、壊れちゃいそうだ。