「はい、実話です。」 躊躇いもなく、寧ろ優しい笑顔で答える私に、朔斗が少しビックリしてた。 私が諦めないことは知っていても、これは収録。 たくさんの人が見るであろうから、ビックリしたのかな。 「実は私、フルートで音大を目指してるんです。けど、このドラマのように指が思うように動かなくなっちゃって…」 誰も喋らぬスタジオに私だけの声が響く。 「だから、当たり前というのは幸せなこと。諦めないで頑張ろうって、見てくれる人が思ってくれたら嬉しいです。」