尚の言った言葉に顔を上げた。 選択肢が1つしかないかもしれない…? すると尚は俺がよくわかってないことを悟ったのか、話し続けた。 「葵ちゃん、病院に行って自分が記憶を失ってること、知ってるんだろ?」 俺は黙って頷いた。 「だから、葵ちゃんはさ、逆に何の記憶がないのか不安なんだよ、きっと。だから…」 尚はそこまで言って俺を見た。 「記憶を忘れたままにすることはできないと思う。」