―……。 俺は言葉を失った。 そうだ。 葵が記憶喪失になるくらい残酷な過去を思い出して良いことなどあるのだろうか。 むしろ、忘れていたほうが幸せかもしれない。 「葵ちゃんにとっての幸せって何なんだろうね…」 葵にとっての幸せ―… 正直、考えたことがなかった。 付き合えて、お互いが笑顔でいれたらいいなくらいしか… 「けど、もう選択肢は1つしかないのかもしれない。」