「それとも」

と、急に美虎は時折気まぐれに見せる優しい口調に戻って私に聞いてくるから、どきりとする。

――っていうか。
  気付けば二人並んで廊下歩いてません? 私たち。

「夢のライブが経験できたら、それで満足?
 俺たちの友情なんて、そんなもんだったってわけか」

「――ち、違うよ、そんなことない」

私は慌てて否定する。

「次のライブも、一緒に――」


そこまで言って、かぁっと頭に血が昇ってきた。
私、何を口走ってんだろ。


恥ずかしさがこみあげてきて、気付けば私は、美虎を置いて廊下を走り、急いで教室に向かっていた。
パタパタと、足音を響かせながら。