ラブトラップ

「でもさぁ、恋って、もっとこう、楽しいモンなんじゃないの?」

今まで、友達が『好きな人できたぁっ』ってハイテンションで報告してくれるのは何度も聞いたことがあるけれど、ため息混じりにそんなことを報告してくれた子なんて、ただの一人も見たことが無い。


ふふふ、と。
南はショートヘアをかきあげながら、大人びた笑みを覗かせる。

「眠れぬ夜を過ごすコトだって、あるんだから」

「そ、そうなの?」

目をぱちくりさせる私に、南がこくりと頷いた。