珍品堂都立家政店

その日、僕の心境は穏やかではなかった。


朝、オフィスに向かうエレベータの中で彼女、小野京子と出くわした。


「おはよ、いよいよ今週結婚式だね。楽しみにしているね」


そう話すや否や、京子は云った。


「おっす、いよいよだよ。だけど、」


「だけど、何?」


彼女は顔をしたに向けたまま、やっぱ何もないよ、


と云った。


だけど、その後に続く言葉の意味に、


それからしばらくの間、


僕は右往左往させられてしまうことになった。