珍品堂都立家政店

老人は言葉を続けた。


「昨日品入れしたばかりでして、この有様です。申し訳ないです」


と同時に申し訳程度に頭を下げた。


「お忙しいところにすみません。外の看板が気になって、


それに、また酷い雨が降り出してきて、ついつい」




僕は僕で、頭を掻きつつ、申し訳の弁を発していた。


「明後日には、無理かな。今週末までには、

店らしくなっていると思うので、


また寄ってやってください」


「ぜひぜひ寄らしてもらいますよ」


と云った処で店を出なければなのだが、


店内にいても、外の雨音は耳に届いていたため、


素直な気持ちを伝えた。


「すみません、しばらく雨宿りさせてくれませんか」


すると老人は、ちょっと待ってなさい、


と云わんばかりの素振りをして、


店の奥に何やらを取りに行った。


戻ってきた老人の手には、


真っ白い折りたたみ傘があった。