珍品堂都立家政店

店内は整然と品が並べられていた。


怪しげな壷やら、


気味悪げな木箱、


よくもまあ、これだけおかしな品を揃えたものだと感心してしまった。


すると、僕が店の中にいることな気付いた老人が声を掛けて来た。


「いらっしゃい」


僕は、先日の傘のお礼を云い、店内を見渡し続けた。


最後の棚を見ようとした、そのときだった。


茶褐色のリングを見付けた。


何故だか無性にそれが気になり、


人差し指にはめてみた。


僕はそのまま、レジにいる老人の元に行き、


「これをください」


と瞬く間に指輪を買おうとしていた。


「ありがとうございます、2000円になります」


ふと、携帯の時計を確認する。


5分後の電車に乗らないと遅刻してしまう。


僕はお金を払い、店を出ようとしていた。

老人はぼそりと僕に聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。


「その指輪をはめて、思う人のことを考えなさい」