P.S.私は幸せです

「それに、美菜子は高松さんと帰るからいいけど私は置いてけぼりなんだからね」


「じゃあ一緒に帰る?」


「帰れるわけないでしょ、あんたらみたいなラブラブ夫婦なんかと!」


付き合って3か月が過ぎようとしており、日に日に距離が近くなっている。


繭は、再びため息をつきながら、机に肘を立てて手のひらに顎を乗せた。


「どうぞ。どうせいつものノロケ話でしょ」


この態勢になるときは、長期戦で話を聞いてくれるときの彼女の癖である。


「繭、ありがとう!」


私は両手を合わせて繭を拝む。


繭は美人な分、一見きついイメージをもたれやすいが、仲良くなるとなんだかんだで優しいのだ。


その優しさに申し訳ないとは思っていながらも、甘えている。


私は、その辺にいる何の変哲もない極々普通の女子大生・・・だと思っている。


「で、最近高松さんとはどうなの?」


「この前ね!映画見に行ったんだけどねーーーーーー」


私のノロケ話は、一時間半みっちりと話しきった。


いや、正しくは話し足りないぐらいである。


そんな長い話の聞き手になってくれる繭は、友達として、親友として、大事にしなければならない。


心から毎回思う。


話し足りないとはいえ、一時間半も話していると話しているほうも疲れてくる。


ちょうどそんなとき。


「美菜子、お待たせ」


ーーーー愛しの彼は迎えにくるのだ。