『……っ……。』
何にも言葉が出てこなかった。
「…本当ごめんな…。もっと早く言おうと思ってたんだけど…。」
『……じゃあさ…』
「えっ?」
『…小さい頃私を守ってくれるって言ったのは……嘘?』
「そんなんじゃ…」
『……引っ越しても…頑張ってね。バイバイ。』
私はその場から走って去った。
顔を隠し泣きながら夢中で走った。
智也が引っ越す日、会いには行かなかった。
最後のお別れはしなかった。
会ったらまた傷つけてしまいそうで…。
本当はあの時あんな事を言うつもりはなかった。
笑顔できちんと“バイバイ”って言うだけだったのに……。
その事にはあれからお互い一切話した事はない。

