「待ってよ。渡辺ー!」
「渡辺さーん!」
「椎榎ちゃーん!」
いろいろな呼び方で椎榎の事を呼んでいる男の子達。
「あーもうっ!ごめんね美空。本当に…。」
申し訳なさそうに椎榎が言う。
『いや…私は大丈夫なんだけど…。椎榎こそ大丈夫?』
「うん…あたしは全然平気。ってかいつまでついて来るきよ!」
そう言って呆れている椎榎。
私も少し警戒しながら後ろを向くとまだまだ人がたくさんいる。
改めて椎榎の大変さを知る。
「次曲がるよ!」
『うん。分かった!』
だんだんずっと走っていて疲れてきたが楽しい気もする。
曲がって走って行くと男の子達が誰一人ついて来なくなった。
「やっとまいたみたいだね!それにしても疲れたわ…。」
校門を出て壁に寄りかかりながら椎榎が呟く。
『確かに…。あんなに走ったの本当久しぶりだよ…!』
疲れたけど本当に何故か楽しかったなー……。

