終わりなき想いの果てに

ディガルが薄笑いを引っ込めて聞いてきた質問は、わたしに理解できるものではなかった。

「あの男が、兄であるはずはない」

「戒は、血は繋がってなくても兄よ!変なこと言わないで」

「いつからだ?」

「ご‥5歳の時に、お父さんが再婚したから…」

ディガルに凄まれてさすがに怖くなり、思わず息を飲む。

彼に対する、わたしの想いはなんとも複雑だった。


「昨日、おまえの記憶を探った時、兄のことなど記憶になかったぞ」

―― 記憶を探る!?

「ひ‥人の記憶を勝手に覗かないでよっ」

「5歳の時、おまえには新しい母ができただけだ」

「嘘よ…」


ディガルは何を言っているの?

戒は兄じゃない?

そんな馬鹿なこと…


「わたしはちゃんと覚えるわ。友達とケンカした時には慰めてくれたし、お父さんへのプレゼントを一緒に選んだり…」

「それは、即席で植え付けられた偽の記憶だ」

「やめて!」