玄関で兄を見送った後、母が待つキッチンに向かった。



「おはよう。お母さん」

「おはよう。今日は随分とゆっくりなのね」

母は笑顔と共に朝食を運んできた。

「いつも早めに出てるから、たまにはね。大丈夫よ、遅刻はしないから」

そういいながら、わたしは母が運んできたオムレツに手を伸ばす。

「そう。それなら、朝食はゆっくり味わって食べてちょうだい。お皿は片付けなくていいから」

いつも優しい母は、そう言って庭に出て行った。

山程の洗濯物を持って。



主婦の朝は、忙しいのだ。