「またおまえか。
はぁ…
今度はなんだ?」



うぅ
怒ってるし…どうしよう…



「えっと、
昨日は…ありがとう…ございました」


…………


とりあえずお礼を言ってみたけど、何の反応もない。


勇気を出して黒沢の顔を見上げると…


腕で隠してるけど、少しだけ赤い…気がする。



「先輩?」



「あ?
ああ…

ったく、おまえのせいで今日の朝練、間に合わなかったじゃねぇか…」



(はぁ?
私のせいにすんじゃねぇよ!

しかも私が礼を言ってあげたのに無視しやがって、
やっぱりムカつく!)



…ん?



「先輩、朝練って…
私も一応…参加しなきゃダメですよね?
何も聞かされてないんですけど…」



「あぁ、俺が言うなって口止めしてた。」



(口止め…?
私は邪魔なんかよ!

あ、
もしかして…部員として認められてない…?)



「おまえ、
マネージャーって事で雑用ばっかさせてるからな…」



(確かに。
…でも、やってみたら
美しい私には似合わないけど、
雑用もそれなりに楽しい…と思ったんだけど)



「顧問の榊からおまえが体弱いって聞いて、

朝も参加させてたら調子悪くするかもしれないだろ?

だから…
放課後の部活だけでも、
頑張るのもいいけど…
あんまり、無理すんなよ。」



(うわぁ、
持病って嘘だったんだけどな〜

まっいいか。


そこまで心配してもらえるとは思わなかったけど…
敵に。


でも、
今までそんなに気遣ってくれた人はいなかったな…)



色々考えてると、
自然と笑顔になってきた。



「分かりました!
部活は精一杯頑張ります!」


黒沢が少しずつ私の良さが分かってきたからなのか、

それとも心配された嬉しさなのか、

自分でもよく分からないけど

なぜか満面の笑みだった。




「イイ表情出来るじゃん」



黒沢が何かをボソッとつぶやいた気がしたけど、



聞きとれなかった…