…………………


長い沈黙が続いた。


黒沢は足が長いから歩くのも速そうなんだ。

けど…
私の歩幅に合わせてくれるからすぐ横を歩いている。


でも…
顔は私とは正反対の方を向いてる…

(こんなに可愛い私を見たくないなんて、コイツやっぱり変わってるな…)



私もコイツが大嫌いとは言え、男子とこんなに長い時間一緒に歩いたことがないから戸惑ってしまう……


黒沢は…

慣れてそうだな…


はぁ…



「おい。」


「は、はい…」



気まずい…



黒沢は足を止めて少し振り向く


「家、どこ?」


「わ、私の家ですか!?」


送るってそういうことか!?


「…決まってるだろ。」



(家まで送ってもらってるとこ見られたくないなぁ…)



「そんな…悪いんで、
そこの本屋さんまでで充分です」



(この辺にしたら後五分ぐらいで家に着くし…)



「あっそ。
じゃ、そこまで」



えっ?


(そんなにあっさり納得するんだ?!
もっと食いつけよ!
伊織の家を知りたくないのかよ!)



色んな考えが浮かんでくるうちに私たちは本屋の前まできた…




「…ありがとうございました。
おかげで心強かったです!」


とりあえず喜びそうな事を言ってあげた…

イヤイヤだけど!


「ここで結構ですから、
もう遅いですし黒沢先輩も気をつけてくださいね。」




…………って!!



黒沢は人の話を完全無視して
本屋の前にあった自販機で飲み物を買っている。




(無視かよっ!)