「おい!!?加瀬…お前…俺の授業で寝るとは…いい度胸だ」 ナルの声で私は睡魔を飛ばした。 「す、すいません~」 「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり……」 「平家物語」を私のそばで朗読を始めた。 「さっき読んだ…場所…教科書なしで言ってみろ!」 「分かりました…。昨日食べたカレーライスは少々辛くて喉が痛くなりました…」 教室中が笑いに包まれた。 「はぁ!!?」 ナルの目が見開いて、私を詰るように見ていた。 「すいません…昨日は肉じゃがでした…嘘ついてました」 再び、笑いが包む。