初めて彼と出会ったのは、1年生の2学期くらい。クラスで馴染めず一人浮く私に、学級委員の彼は話しかけてくれた。

「お前は何で一人だ?」

「え・・・?」

そんな事言われても、どうしても私が根暗だからとしか言い様のないことなのだけれど・・・返答に困ってる私を、彼は心底不思議そうに見た。

「何でだ?」

「それは・・・私が、根暗だからだと思うの・・・」

「どこがだ?」

ああ、もう早く何処かへ言ってくれと私は心の底で願う。しかし、そんな願い叶わずに彼は言葉を紡ぐ。・・・変な慰めは、いらないの。

「別にお前のために言うわけじゃないけど、俺は、先生に言われてお前と話してるとか、学級委員だから話してるとか、そんなんじゃないぞ。」

「うん・・・」

彼の意図が分からずに、ただ、うん、うんと頷く。彼は何故かどんどん顔が赤くなっている。汗もかいている。

「あついの?」

「良いから、聞け。」

「・・・うん。」

彼は切羽詰った、というか、緊張している面持ちで言う。

「俺は、お前と、その、えっと、話したいから、話してるだけで」

「私なんかと話して面白いことがあるの?」

「あっ・・・・当たり前だろ!!!!」

顔を真っ赤にして、何故か彼は怒り出した。ああ、この人は人のためにここまで怒れるんだな・・・・そう思うと、彼が人気があることに同情した。上辺だけじゃない、心の底からのいい人。驚いている私に気付かず彼はぶつぶつと何か言っている。気付いたが、周りの人がこちらを見てニヤニヤしている。

「どうしたの?」

そういうと彼はバッと顔を上げた。

「なんでもない!!いいから、今日から自分の事根暗って言うな!!思うな!!」

「う、うん・・・・わかったの・・・・」

困りながらも、唯一の友達の彼の言葉を受け入れる。視界の端に、憎悪の混じった目で見てくる女子のサークルを見つけた。

「何か、皆に見られているの・・・」

「っ・・・!?」

彼は慌てたように周りを見る。周りが見えていなかったのだろうか?瞬間、彼の赤かった顔がさらに赤くなる。

「っ・・・じゃあな!!」

そのまま、男友達の中に怒り狂いながら走っていってしまった。