脱力くんの話によらず


「1年も付き合ってて
俺、たかさんのこと
全然知らない」

「それは…
私が自分のこと
あまり話さないからかな?」

「うん」

「だけどそれだったら
住田くんもそうだよ?」

「え?」

首をかしげる彼。
自覚が無いんだ。

「私だって
住田くんのこと
全然知らない」


ムスッとした顔で
私はコーヒーを含む。

さっき彼が「苦い」と
発したからかどうか
少し苦くも感じる。