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「…………てことがあったの。

イシュ、心配かけてごめんなさい」




帰ってそうそう引っ張られたミラはイシュにこれまでの経緯を話し、話を聞いた彼はハンカチを持つ手を震わせながら涙目で頷いていた。


相変わらず可愛らしい彼は、気配を感じた瞬間から厨房を走り回り、料理を用意していたのにいつまでも帰らない主人を門の前でずっと待っていたらしい。



ぐずぐずと鼻をすすりながらフルフルと首を振っている。


「いいのです、いいのです姫様………いえ、奥方様。
私は心配だっただけなのです」


「汚いよイシュ、みっともない顔でミラを見るなよ」

ニルはだるそうにミラの隣に座りイシュに山のようにハンカチを出す。


「ひどい、そんなにいらないよ」

「…………い、いいのです、みっともないし汚いのはわかってます!」