しかし、事件は起こりました。


あの日突然、彼女はクラス内でイジメられるようになりました。



原因は、彼女の"嘘"でした。

彼女の嘘は、誰にでも良い顔をするような八方美人であると、周囲にはそう捉えられてしまったのです。



誰かを傷つけることはないものの、嘘は嘘。


信用の出来ない彼女の言葉に、クラスメイトはいつしか誰も耳を貸そうとはしなくなりました。



小さな無視が、いつしか大きなイジメへと変わっていったのでした…。






ひとりぼっちの嘘つき彼女に、正直者の彼は話し掛けました。


「だから、嘘はほどほどにって言ったじゃないか」

「……」


返事をしない彼女に、彼は小さく溜め息を零しました。

そして、意地悪くこう尋ねました


「辛いだろ?」

「辛くない…」


彼女は意地になってそう返しました。


本当は、

辛くて辛くて

誰かに助けて欲しくて堪りませんでした…。