「──…いって!!」 思いっきり背中を蹴り飛ばした。 地面へと落ちた奴は鋭く俺を睨み付ける。 「何するんだ、コラ!誰だテメー!」 どうでも良かった。 奴の顔を思いっきり殴り付けた。 奴の唇に、血が滲む。 「倖谷!それ以上は、柚が悲しむ!」 もう一発、殴ろうと拳を振り上げた瞬間、佐倉の声が響いた。 柚の名を聞いたと同時に、我に帰る。 次の瞬間、奴の拳を食らい、同じ様に鉄の味がした。 佐倉がウイッグとサングラスを外し、慌てて駆け寄って来る。