存在〜after〜
休日。
俺と柚は電車に揺られ、ある場所に来ていた。
まぁ俺が来たかった場所だから隣に居る柚は最初表情を困惑していたが、今はキラキラと瞳を輝かせて物色している。
……つーか、此処に来た理由とか聞かないのかよ。
俺が此処に来たいって言ってる時点で気になれっつーの。
前もって注文しておいた物を従業員の人に取り出して貰う。
首を傾げて「誰にあげるの?」なんて見つめてくる柚の腕を取り、外へ出た。
鈍感にも程があるだろ。
人気のない公園。
促される儘の柚はずっと不思議そうに瞳を丸めている。
そんな柚の左手を取り、薬指に嵌めてやると俺と交互に何度も視線を向けてくる。
やっと理解したのか瞳から幾つも光る雫が流れ落ちている。
俺の指で拭っても拭ってもそれは止まる事のない綺麗な雫。
その雫が愛しくて傍へ抱き寄せた。
腕の中で指に飾られた物を眺めながら、
そこには確かに暖かい笑顔。
一生お前だけを見つめるから、柚。
そして、
俺の指にもお前と同じの小さなオレンジの石が埋められた指輪が輝いて…──
Fin