現れたその姿は…何故か、初めて見た感じはしなくて。


何も言わずに目で追っていた。



「倖谷、春樹君だな…息子から話は聞いているよ」



窓の傍に立ち、そう告げる声に眉寄せる力が込める。



全てを狂わせた張本人。



「森川君の家には昔何度か遊びに行かせて貰ってたんだ…確か、幼い君も居た筈だ」



俺の表情を察してか次々と耳に届く声。


薄らと浮上する昔の記憶。


そうだ、確か小さい頃…柚と遊んでいる時にこの人柚の家に何度か来た。


子供だったから何も思わなかったけど…何処か面影を感じたのはそれか。