その手元には見覚えのあるモノ。
小さな石のストラップ。
オレンジは柚。
「お揃いみたいだよね、元恋人だからってお揃いってイケないだろ」
「……」
「そんな睨むなって、お前とお揃いって俺が許さない。これでもうお揃いじゃないから」
目先では宙を舞うオレンジの石。
次の瞬間、勢い良く落下した。
耳に入った水音。
川の中へ落ちたのを確認してから車に乗り込み、その場を去っていく。
色々な感情が脳裏に浮かびながらも足は進んでいる。
深さは腰ら辺までありそうだけど、流れはそこまで早くはない。
無心で川へ入るとやっぱり水が冷たい。
