寒いのは本当に苦手だ。
寒さに弱い俺に柚がブランケットをくれた。
教室へ唯一あるストーブ。
あそこは確かに温かいけど、人が戯れ過ぎていて近寄りたくない。
ブランケットへ包まりながら机へ顔を伏していると、頭上から声がした。
「本当に意外…春も弱ったりするんだね」
何だと、人をなんだと。
それは確かに佐倉の声で。
不服そうな顔を上げた。
「春は昔から寒いの本当にダメだよ」
隣には柚が立っていた。
気付けば頬に暖かな感触。
それがホッカイロだと分かると柚がにっこり笑った。
「あげる」
「サンキュ」
それを受けとると佐倉が何か言いたそうに見ていた。