「へぇ、祭りなんか来てんのかよ。俺と一緒だった時は全然遊んでくれなかった癖によ」
見知らぬ男。
向き合う様に佐倉と聖が立っている。
佐倉の表情は明らかに強張っていて。
誰だ…───
「なっちゃんの、恋人だった人…」
だった人。
元恋人って事か。
でも良からぬ空気って事は誰が見ても理解出来る。
「なっちゃん…自分の時間ってあんまりなかったから。色々あって良い別れ方してないみたいなんだ」
小さな声で説明してくれる柚の声は何処か弱々しくて、繋いでいた手に力を込める。
「アンタにはもう関係ないでしょ」
「男捕まえたのかよ、誰だよそいつ」