「なっちゃんと聖…どこ行ったのかな」





目的地もないまま、足を進める中柚が呟いた。





まあ…佐倉が気使ってくれたんだろうけど。

前へ前へと歩んでいくと縁日の音が遠ざかっていく。

奥へと進み過ぎたな…

そう思って引き返そうとした直後、聞き覚えのある声。






「分かったから、あっち行ってよ…」





「なっちゃん…?」





佐倉の声。

柚が周りを見渡す。

俺もつられて周りを確認しながら声を追う。

柚の手を引きながら進んでいくと幾つかの人影が目に入った。