呼び掛けに、何も反応を示さずにキッチンで飯をよそっている。
難しい年頃か…分からなくは、ないけど…。
「光輝、挨拶くらいしてよ」
佐倉の声にも答える事なく、お盆に自分の分を乗せて、二階へ上がっていってしまった。
「ごめんねー?」
申し訳なさそうに、眉を垂らす佐倉に柚が肩に手を置いて
「大丈夫だよ」と宥めている。
「夏子と柚の飯が美味すぎて、アイツきっとニヤニヤしてるぜ、絶対!な、友奈ちゃん」
「うん、お姉ちゃんのご飯いつも美味しい!」
「ちょ、誰に断って、呼び捨てにしてんの!」
「良いだろー」
「ほとんど作ったのは、なっちゃんだよ。美味しいよね、春。」
「マジで、美味い…」
俺達が次々と並べる感想に少し頬を染めながら、
佐倉は困惑している様で…。
佐倉の表情が新鮮で皆が笑みを零して、見つめていた。
突然に、扉が開く音がした。
その瞬間、佐倉の表情が一瞬にして変化した。