ざくりざくり2つの影が進む。 潮風の音と波打つ音、砂を踏む音を2人は聞いていた。 彼女の長い黒髪が揺れ、彼の白いシャツがはためく。 まだ冷える風のなか、繋いだ右と左だけはあたたかかった。 ゆっくりと砂の上に座る。 藍に染まりつつある空を見る彼女の顔は幸せにふわりと微笑んでいる。 彼の肩に頭を預け、彼はその髪を梳く。 静かな景色だった。 .