二人になると私は
「ちょっと待って」と言って
携帯を取り出し、
サオリに電話をかけた。
翼と会えたらサオリに
電話をかける約束だった。
サオリは誰よりも二人のことを
知っているからだ。
電話の向こうでサオリは
嬉しそうに「よかった」と
言ってくれた。

東京駅をあとにし、
翼の地元へ向かった。
道中、翼は私の父さんが
怖いと言ってなんだか
面白かった。
本気で固まっていたので
相当怖かったのだと
思うと何だか笑えた。