夏休みに入ったある日、
親の携帯を借りて
初めて電話をすることになった。
その日は朝からソワソワして
落ち着きがなかった。
画面越しの"彼氏"は
どんな声なのだろう?

その夜携帯を握りしめ
ベッドの上で固まっていた。
手が今までにないくらい震え
ボタンを押せずにいた。
やっとのことですべての
ボタンを押し終えた。
プルルッと呼び出し音が鳴り、
危うく切ってしまう
ところだった。

「もしもし」
声変わりしたてだろうか、
少し低い声が聞こえた。
「もしもし」
私はそれに応えた。
「何か緊張するね」と
レボが照れくさそうに言った。

最初はお互いもじもじして
沈黙が続いた。
何を話せばいいのか
全くわからなかった。
しかし私は自分の中の
気持ちを伝えたくて
思い切って口を開いた。

「最初は好きとか付き合うとか
よくわからんかったけど
今すっごく好き、
愛してるよ」

照れているレボが
電話の向こうからでも
よくわかった。
私も自分で言っておいて
顔が真っ赤になった。
ただ気持ちは本当だった。
今までにない気持ちが
私の心を駆け巡っていた。