「刹那、私たちも始めましょ!」

「うん。
 盛大なパーティーの始まりだ!」



 アンたちが行ってしまったのを確認し、2人は更衣室を後にして廊下を進んで行き、突き当たりを右に曲がって広い通路に出た。

 その時、2人の目の前を白衣を着たメガネの老人が通り過ぎていくのを見た。

 手に大きな鞄を持っている所から、緊急で呼び出された医者であろう。



「王室は……」

「こっちだよ」

 雫が右と左を交互に見ながら考えていたが、刹那がサッと雫の横に出て右を指差す。

「そう、こっちね」

 2人は急いでなだらかな階段を上っていき、左右に別れる踊り場で、雫はさっきの医者の後を追うように左に曲がろうとしたが、また刹那に呼び止められてしまう。