「ごめん。」とだけ言って、純は電話に出た。
「もしもし、どうかした?」
もともと私は4人の幼馴染みの中に割り込んだ人間だ。美南は感じていないだろうけど、時々気まずいときがある。どこか美南とは壁がある気がする。
「わかった、じゃあな。」
数分後電話を切った純から、思いがけないことを聞かされた。
「美南、どうかしたの?」
「いや・・・、なあ碧。俺・・・美南のとこに行って来ようと思う。」
「美南?だって夏休み帰ってくるんでしょ?」
「もうジッとしてるのが辛いんだよ。あいつを放っておくなんてできない。」
「待ってよ、そんなことしたら・・・ますますチカが離れていくよ?」
「分かってるよ・・・分かっているけど・・。俺どうしたらいいのかな?」
その言葉の中には涙が混じっていた。今にも泣きそうな声。
「前から知ってた、ずっと前から。チカが好きでいてくれてること。」
「知ってたのに、あんな態度とってたの?」
「俺も、自分はチカが好きだって思ってた。でも美南が・・・。」


