「碧。」
「えっ…。」
この声は慧じゃない。
『碧?』
「慧…どこ?」
『え?ここ?東京だよ。今ね久しぶりにアッコたちに会ってるんだ。代わろうか。』
「あっ…ごめん、今はちょっといいや。」
『え?碧?』
「じゃあね。」
静まる病室。
「タイミング悪かったね。」
「大丈夫。」
私の目の前にいるのは純だった。
彼は私の手から携帯を取って、置いてくれた。
「ひとり?」
「ちょっと話があって。」
「ん?」
「………。」
「外行こうか。」
「えっ…。でも危ないし。」
「平気平気。その代わり車椅子押してね。」
「ああ。」
私は久しぶりに外に出た。


