幕末純想恋歌

それからしばらくは適当に色々話していた。

「あ、葵ちゃんも食べ終わったね?じゃ、はいお猪口。」

「だから、わたしお酒は……!!」

「まだ乾杯してないでしょ。一杯だけ。ね?」

「乾杯って…もうかなり飲んでるじゃないですか。」

「細かいことは気にしない。歓迎の意味も込めてるんだからさ。」

「…じゃあ一杯だけ。」

「そうこなくちゃ、ほら。」

藤堂がお酒を注いでくれる。

「ありがとうございます。」

「全員用意いいね?じゃあ、新しい仲間に乾杯!!」


「…ケホッ、コホッ…。」

初めてのうえ一気に飲んだせいでむせてしまった。

原田が笑いながら声をかけてくる。

「大丈夫か?で、どうだ?初めての酒は?」

初めて飲むお酒は少し苦くて、大人な味で…… 

「…あんまりおいしくねぇって顔だな。」

苦笑するしかない。

「ま、はじめはみんなそんなもんだろ。飲んでるうちに美味しくなってくる。」

「ってなわけでもう一献!!」

「…あ。これで最後ですよ?」          

「でも、酒飲んでる空気はイイだろ?」

今の空気はとても温かくて、賑やかで……、 

「はい。」

…とても優しかった。