幕末純想恋歌

静まり返る中最初に口を開いたのは沖田だった。

「ダメだなぁ、土方さん。葵ちゃん、怖がって停止しちゃいましたよ。」

「えっ!?何言ってるんですか、沖田さん!?違いますよ、土方さん!!怖がってませんからっ!!」

この空気でなぜ自分を出すのか。

「え~、話してもいいかね?」

「あ、はい。」

何時話しだそうか近藤が困っていたらしい。

「え~、ゴホン。先程話したが、この子が今度からここに住むことになった、菖藤葵君だ。仲良くしてくれ。」

「で、なんでここに住むことになったの?別に、女中として雇ったワケじゃないんだろ?」

「それを今から説明するんだよ。少しは落ち着いて話聞け、平助。だから、ガキなんだよ。」

「…すみません。」

今話していた人は平助というらしい。

少し猫目の丸い目が子供っぽく見える。

可愛いというか、愛嬌がある顔立ちでなかなか整っている。

「…実は、葵君はかなりのワケありでな…未来から来たそうだ。」

『………………。』

再び部屋が静まり返る。

「…近藤さん、もう一度おっしゃっていただけますか?」

眼鏡を掛けた優しそうな人がゆっくり問いかけた。