幕末純想恋歌

「証拠はあんのか?信じろと言われて、簡単に信じられる話じゃねえぞ。」

「……証拠といわれても。この服じゃだめですか?セーラー服。」

「確かに今の着物とはまったく違うな。」

近藤が言う。

「西洋のがそんな感じだな。」

土方がすかさず返す。

「…………。」

困った。何か、何か持ってなかったけ?

「あっ!かばん落ちてませんでした?あの辺りに。」

「かばん?どんなの?」

沖田が尋ねる。

「これくらいで、四角くて、黒くて皮でできてて…下のほうに金で刺繍してあるやつです。菖籐と書いてあります。」

手で大きさを表しながら説明してみる。

すこし考えた様子で

「ちょっと待ってて。」

にっこり笑顔で言って立ち上がった。

「近藤さん、土方さん、僕ちょっと見てきます。」

そう言って部屋から出て行った。